世界の小路 西アフリカ旅行情報ガイドのトップへ

セネガル・ギニア・ニジェール・コートジボワール・ガーナなど西アフリカ諸国を旅行する方へ。入国案内や日本からの行き方や写真・旅行記から綴る海外旅行情報サイトです。


2023年10月26日

病気と予防接種 / 西アフリカへの行き方 西アフリカ旅行


黄熱病 / Yellow Fever / Fievre Jaune

概要

ネッタイシマカや猿や有袋類の脊椎動物によって媒介される黄熱ウィルスを病原体とする感染症です。
黄熱病は、唯一渡航に際して予防接種(イエローカード)の国際証明書が要求される感染症です。西アフリカではイエローカードの提示が義務になっている国がほとんどで、入国の際にイエローカードを持っていないと入国が認められません。また、西アフリカからの帰国の際にヨーロッパや第三国へ入国する際にも提示を要求されることもあります。

症状

様々な症状を起こす急性疾患で、最も軽い場合は鑑別はできませんが、通常、3〜6日の潜伏期間の後、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、悪心、嘔吐などを起こします。病気が進むにつれて、出血症状(鼻血、歯肉からの出血、吐血)や蛋白尿が現れます。黄疸は感染初期には軽く、次第に重症となります。死亡率は、流行地の人の場合は5%以下ですが、旅行者などでは50%以上になることがあります。

治療方法

これといった治療法はなく、対症療法が主となります。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。絶対に予防接種を受けましょう。
2005年にマリで流行しました(23名死亡・53名確定患者)。
2005年にギニアで流行しました(26名死亡・114名確定患者)。
2005年にセネガルで流行しました(2名死亡)。
2005年にブルキナファソとコートジボワール国境で流行しました(1名死亡・4名確定患者)
2006年にコートジボワールで流行しました(2名確定患者)
2007年にトーゴで流行しました(5名確定患者)。
2008年にギニアで流行しました(3名死亡)。

予防接種

1回の接種で10年間有効な予防接種がありますので、流行地に旅行する際は接種を受けることが最も有効な予防法です。

 

髄膜炎 / Meningitis / Meningite

概要

アフリカではA群髄膜炎菌が原因の流行性髄膜炎に注意が必要です。
髄膜炎菌性髄膜炎とは、脳と脊髄をとりまく膜が炎症を起こして激痛を伴う流行性の髄膜炎で、化膿性髄膜炎の一種です。飛沫感染や直接接触で大規模に広がり、主にアフリカから中近東で流行します。犠牲者の多くは頸部の硬直・高熱から出血・昏睡状態が始まり、あっと言う間に危篤状態に陥って、発症から1日で死に至ってしまうこともあります。発症した場合、治療を施さないと死亡率は100%に近いとされています。

症状

発熱、頭痛、意識障害、髄膜刺激症状が認められ、悪心・嘔吐も生じ、時にはマヒも起こします。ケルニッヒ徴候、羞明、眼球の圧痛などもみられることがあります。

治療方法

細菌、真菌、結核菌による髄膜炎では、速やかに強力な抗菌療法を開始しなければなりません。頭蓋内圧亢進症状が強い場合や、意識障害が見られる場合には、グリセリンやマンニトールなど多糖類の投与で脳浮腫の改善を図ります。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。
特にサハラ砂漠以南の国々は髄膜炎ベルトと呼ばれる高発症地帯に指定されており、非常に注意が必要です。
2005年にチャドで流行しました(35名死亡・387名確定患者)。
2006年にブルキナファソで流行しました(399名死亡・3,636名確定患者)。
2006年にマリで流行しました(9名死亡・160名確定患者)。
2006年にニジェールで流行しました(44名死亡・614名確定患者)。
2006年にコートジボワールで流行しました(40名死亡・130名確定患者)。
2007年にブルキナファソで流行しました(1,490名死亡・22,255名確定患者)。
2008年にブルキナファソで流行しました(204名死亡・1,422名確定患者)。

予防接種

ポリサッカライド(MPSV4)が、髄膜炎菌性髄膜炎への予防に適しています。予防接種は1回接種であるが、効果発現までおよそ2週間かかります。

 

マラリア / Malaria / Paludisme

概要

マラリアは、マラリア原虫による感染症です。 マラリア原虫を持つ蚊(ハマダラカ)に吸血されることで感染します。 原虫の種類によって、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリアの4種類に分類されます。

症状

1週間以上の潜伏期間の後、悪寒、震えと共に体温が上昇し、1〜2時間続きます。その後、悪寒は消えますが、体温は更に上昇し、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛などが起こり、これが4〜5時間続くと発汗と共に解熱します。これを熱発作と呼びます。この熱発作の間隔は、感染するマラリアの種類によって異なり、三日熱、卵型マラリアは48時間、四日熱マラリアは72時間ごとに起こりますが、感染初期では発熱が持続する傾向が多いようです。 一般に熱帯熱マラリアは、他のマラリアと異なり高熱が持続する傾向があり、平熱まで下がることはほとんどありません。また、症状も重く治療が遅れると意識障害、腎不全などを起こし、死亡することもまれではありません。

治療方法

抗マラリア薬を投与します。 感染した地域によって、マラリア原虫の薬剤耐性が異なるので、その地域性を考慮した薬剤が選択されます。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。特にサハラ砂漠以南の地帯が危険です。
致死率の高い熱帯熱マラリアの感染報告が多い地域です。

予防接種

マラリアに対する予防接種ワクチンはありません。蚊に刺されないようにすることが一番大切です。
ワクチンはありませんが、予防薬は存在します。多種の薬があり、飲み方も違うので注意が必要です。日本でマラリアの予防薬として認可されているのはメフロキン(商品名メファキン)のみです。 しかし海外ではアトバコン/プログアニル合剤(商品名マラロン)、ドキシサイクリン、クロロキン、クロロキンとプログアニルの併用などが使われます。クロロキンは、アフリカの熱帯熱マラリア原虫で耐性が見つかっているので使用はお勧めできません。マラロンはマラリア流行地を離れて7日間、それ以外は4週間薬剤を飲み続けなければいけません。

 

A型肝炎 / Hepatitis A / Hepatite A

概要

ピコルナウイルス科に属するA型肝炎ウイルスが原因のウイルス性肝炎の一種です。
ウイルスに汚染された水や氷、野菜や果物、魚介類を生で食べることによって感染します。(経口感染)

症状

発症すると倦怠感が強くなり、発熱、下痢、腹痛、吐き気・嘔吐、黄疸が見られます。初期には、風邪と似た症状を呈することもあります。
重症になると1か月以上の入院が必要となる場合があります。

治療方法

安静と対症療法が中心です。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。特にサハラ砂漠以南の地帯が危険です。

予防接種

日本では、A型肝炎の予防接種の対象年齢は16歳以上です。渡航前には、2〜4週間の間隔で2回接種します。その後、約半年後に3回目の接種をすると5年間有効といわれています。

 

破傷風 / Tetanus / Tetanos

概要

病原菌は、破傷風菌というグラム陽性の嫌気性菌で、胞子の形で土壌中に広く分布しています。
破傷風菌が、傷口についた土などから体内に侵入し感染します。傷口に木片や砂利などの異物が残っていると、破傷風は発病しやすくなります。 破傷風菌が産生する毒素によって、口唇や手足のしびれや口が開けにくいといった神経症状を引き起こし、治療が遅れると全身けいれんを引き起こし死に至る感染症です。

症状

潜伏期間は通常3日〜3週間で、平均4〜7日ごろから、口を開けにくい、首筋が張る、寝汗をかくなどの症状があらわれます。しだいに口が開けにくいといった硬直感が出て、手足にもこの異常感覚が広がり、この時点で診断が遅れたり抗毒素が注射されなければ、腹部を突き出すように全身を弓なりにけいれんさせて、約4割(新生児で8割)が死に至ります。

治療方法

発病した患者には破傷風免疫ヒトグロブリンの血清療法を行います。さらに傷口の消毒や気道確保、抗けいれん剤の投与を行います。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。特にサハラ砂漠以南の地帯が危険です。

予防接種

日本では、小児期に三種混合ワクチンの定期接種が実施されています。1回では十分な免疫ができないので、乳幼児期にまず3回接種し、さらに追加接種を1回します。さらに長期にわたる免疫をつけるために、小学校高学年から中学校で、二種混合ワクチンを1回追加接種します。前回の接種後10年を過ぎた人は、追加接種が望まれます。 つまり、20代前半くらいまでは免疫がありますが、その後は、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつくと考えられます。

 

狂犬病 / Rabies / Rage

概要

狂犬病は、発病するとほぼ100%死亡し治療法がないおそろしい感染症です。
感染した動物にかまれた傷口からウイルスが侵入します。ウイルスは軟部組織で増殖し、神経を伝わって脳に移行し、中枢神経症状があらわれます。脳から再び神経を伝い、唾液腺へ移行して唾液中にウイルスが排出されるようになります。
犬だけでなく、 ジャッカル・マングース・ネコ・イヌと哺乳類からも感染します。コウモリの唾液からも感染します。

症状

ヒトの場合、潜伏期間は9日から数年で通常は20から60日程度です。発病率は32〜64%です。発病するかどうかはかまれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などで大きくかわります。症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、かまれた部位の異常感覚があります。ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起きます。液体を飲むとのどがけいれんを起こし、非常に苦しいため水を怖れるようになります(このため狂犬病を恐水病ともいいます)。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のヨダレをながし、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡します。

治療方法

狂犬病のおそれのある動物にかまれたら、すぐに傷を水でよく洗い、信頼できる病院でできるだけ早く傷の処置とワクチンを接種します。(暴露後接種)いったん発病したら治療法はなく、100%死亡します。

感染のリスクが存在する国

このサイトで紹介している西アフリカ14ヶ国全てにおいて、感染リスクが報告されています。特にサハラ砂漠以南の地帯が危険です。

予防接種

ワクチンは4週間隔で2回接種し、さらに6から12か月後に3回目を接種します。その後の長期にわたる予防のためには、1年から2年に1回の追加接種が望まれます。 しかし、これで発症を完全に抑えられるわけではありません。感染している犬などに噛まれた直後からワクチン接種を複数回受ける必要があります。
3回のワクチン接種後、6か月以内に咬まれた場合には0日、3日の2回の接種が必要です。また、6か月経過後に咬まれた場合には0日、3日、7日、14日、30日、90日の6回のワクチン接種が必要です。
つまり、狂犬病に感染していると思われる動物に噛まれたら24時間以内にワクチン接取を始めないと効果は期待できなくなります。

 


ページトップへ ▲